ラジオで妹尾和夫とヤシロが考える終活「終活日誌」第143回

第143回（2016/12/27放送）

妹尾：

今日は、霊園・墓石のヤシロの八城社長を終活アドバイザーにお迎えして、
みなさんからの疑問・質問にお答えいただきます。

八城：

お願いします。

妹尾：

まずは、こちらの方から……

61歳・男性
最近、市内の霊園に墓地を購入しました。
一人暮らしをしていた父が昨年亡くなり、その新しい墓地に入ってもらいました。
実家には誰もいないので、田舎にある先祖の墓を、新しく購入した父が眠る墓地に
移したいと思っています。
そのために必要な手続き、流れなどを教えてください。

妹尾：

やはり、供養するなら遠くのお墓よりも、近くのほうがいいですよね。
でも、田舎にある代々のお墓を移すには、どうすればいいのでしょうか？

八城：

一度、埋葬したご遺骨を、他のお墓や納骨堂などに移すことを、改めて葬る
と書いて「改葬」といいます。
この改葬を行う際には、所定の手続きが必要になります。
通常、私たちが引っ越しをする際、転出先の役所に転出届を出し、転入先の
役所に転入届を出して、住民票の移動をしますよね。
お墓に関しても「墓地埋葬等に関する法律」という法律があり、この法律の
第１４条で「墓地の管理者は、市町村長が交付した、埋葬許可証、改葬許可証
又は火葬許可証を受理しなければ、焼骨の埋蔵を行ってはならない」と規定しています。
つまり、墓地の管理者は、「誰が、誰のご遺骨を、いつ、どこに埋蔵したのか」
ということを管理する責任があり、それが出来ない遺骨は埋蔵できないと
いうことになるわけです。
そこで「改葬」を行う際には、現在、お墓のある墓地の管理者に、誰の遺骨を移す
のかを証明する「埋葬証明書(納骨証明書)」を、新しく求めた墓地の
管理者に「墓地使用承諾書」又は、ご遺骨の「受入証明書」を出してもらい、
その２つの証明書を現在、お墓のある市町村役場で「改葬許可申請書」と
一緒に提出して、「改葬許可証」を発行してもらいます。
この「改葬許可証」を、新しく求めた墓地の管理者に提出しなければ、
ご納骨ができないということになります。
あまり馴染みのない書類の名前ですので、ややこしい手続きのように聞こえる
かもしれませんが、実際にはそんなにややこしいことはありません。
新しく求めた墓地の管理者にお尋ねいただくと、手続きの手順も教えてもらえると
思いますし、インターネットなどで「改葬手続き」と検索していただくと、
いろいろなホームページで、詳しく載っているものがあります。
また、市役所などにお伺いになっても教えてもらえますので、手順に従って進めれば、
比較的、簡単に作業は出来ると思います。

 

妹尾：

続きまして……

55歳・男性
私たちには先祖代々のお墓があるのですが、親戚も遠くにおり、
また、私たちには子供もいないので、お墓を守ってくれる人がいません。
今はまだ体も元気ですが、これから体力もなくなり、お墓の手入れができなくなる
と思うと、途方に暮れてしまいます。
できれば私たちが元気なうちに墓じまいをして、ご先祖様を檀家のお寺で供養して
もらおうと考えています。
墓じまいの費用はどのくらいいるのか、どういう流れで進めていけばいいのか
教えてください。

妹尾：

この方だけじゃなく、最近は墓じまいを検討している人は多いと思います。
費用や段取り、注意点などについて、ぜひ教えてください。

八城：

墓じまいを行うには、先ほど説明させていただいた、改葬の手続きの他に、
お寺さんへのご相談とお墓を除けてもらうための、石材店へのご相談が必要です。
お寺さんには、お墓の「魂抜き」を行ってもらわなければなりません。
やはり、長らくお参りしてきたお墓ですので、入っておられる、ご先祖に対して
「今から解体の工事を行いますよ」というご挨拶をしてからでないと、その後、
何か起こったら嫌ですよね。
次に、石材店には、事前にお墓を解体と撤去作業、その後の処分までの費用を
事前に見積もってもらう必要があります。この際には、なるべく２社以上の石材店
の見積りを取った方が良いと思います。さらに解体したお墓の処分方法も確認して
おいてください。中には、お墓を不法投棄してしまう悪質な業者もありますので
ご注意願いたいと思います。
費用的には、お寺さんの「魂抜き」に対するお布施は、通常１万円〜３万円程度
が多いと思いますが、お寺さんとのお付き合いの度合いによっては、もう少し多め　　
にされることもあると思います。
墓じまいに関しても、お墓の建っている場所の事情によるとは思いますが、
一般的には１�u当たり１０万円〜１５万円程度というところが多いです。
詳しくは、お近くの石材店にお尋ねいただきたいと思います。